加藤順彦氏の講演を聞いて思ったこと

予期した事故に合ったような気分だった。

少し前になるが、去る4月17日にtechwaveが主催する加藤順彦氏の講演会、「大阪人よウミガメになれ」に参加してきた。

自分の中で講演内容をまとめていなかったので、僕個人が内面的に受けた感想と合わせてブログにまとめておこうと思う。

加藤氏の講演を要約すると、加藤氏が講演を締め括った言葉である「今回の講演を聴いた人の中から1人でもアジアに出てビジネスを始める人が出てくれば、今回の講演は大成功だと思っています」との発言からも伝わる通り、アジアでビジネスをすることについて背中を押す内容を実体験も合わせて伝えるというものであった。

以下、加藤氏の発言で印象に残ったもの。
(加藤氏の講演では、講演中にリアルタイムで内容をツイートしても良いとのことだったので、内容を書いても問題ない。と思う)

  • なぜ日本人の多くは海外を目指さないのか→それは、日本がどうなれば良いかの将来ビジョンが明確ではないから。今はビジョンとなる憧れるべき見本となる人がいないから
  • ベンチャーの強みは、グレーゾーンを攻めることが出来ること。つまり、大手がリスクを恐れて手出し出来ない、いわゆる「得体の知れないもの」をビジネスとして扱うことが出来るところ
  • ビジネスで成功するか否かは、自分が身を置いている事業が成長産業であるか否か
  • かつて日本が豊かだったのは、日本の国民が豊かであったから。しかし、今はアジア諸国の国民が豊かになってきている。つまり、アジア諸国で勝負出来る椅子がどんどん増えている
  • 日本は新しい事業や雇用を生む新規参入企業が法などの太刀打ち出来ない力によってどんどん潰され、既得権益者の息のかかった古い企業しか残らないような風潮がある
  • 新しいビジネスの波を掴む者は、波が来た時に「こんなことをしよう」と準備をしている者のみ

というような感じである。
※個人的解釈が入っている為、加藤氏の意図していることとは異なる場合があります(これ以降の文章も)

僕は正直、これまであまりアジアに目を向けて情報収集をしてこなかったので、なるほどと思う内容がたくさん転がっていた。

が、しかしだ。
ここまで書いてなんだが、実のところ印象に残ってしまったのは伝えられた内容より、加藤氏の人間性=パーソナリティだった。

講演前、加藤氏がどのような人物であるか存じなかったので、事前にいくらか情報収集をしたところ、相当熱い人なのだろうと予想をしていたのだが、全くその通り熱い人だった。

いや、正確に言うと予想を超えて熱い人だった。

だから冒頭に書いた「予期した事故」。予想はしていたものの、事故にあったような「ぶつけられた感」が印象として残った。
それぐらい、発言する言葉にパワーが乗っかっていたのだと思う。

このところ、パーソナリティについて考えることが多く、世間的にもセルフブランディングという言葉をよく目にするようになり、個人が生み出す価値が重要視されてきていると思う。

これについて僕は、詰まるところ「その人が今、実際にどんな行動を起こしているか」に集約されると思う。
どれだけ理想を語っても、何もしていなければ誰も相手をしてくれないなんていうのは想像に難しくない。
(あ、書きながら自分に言い聞かせていることに気付いて何だか胸が痛い・・・)

逆に言えば、行動が伴っている人の発言は、その言葉以上のパワーを持って伝わる

加藤氏は学生時代からビジネスのど真ん中で勝負を挑み、40代半ばになった今もバリバリ戦い続けている。しかも、今は自分が第一線に立つのではなく、日本とシンガポールの橋渡し役になってこれからを担う若い人達の力になることを主軸に置いて活動している。

加藤氏は先に書いた締め括りの言葉の前にこんなことも言った。
「こんなおっさんの言うことなんかどうでもいいんです。そんなの何の意味もない。とにかく自分で動いて自分で感じてほしいんです」と。

もちろん本音だろう。
しかし勘弁してほしい・・・だってかっこいいじゃないかちくしょう。
そんな人の言葉がパワーを持たないはずがない。

この講演会は、視野を広げることの重要性と意思に行動を伴わせることの重要性を全身で感じることが出来る、とても価値ある講演会だったように思う。


因みに、講演会の後、懇親会が予定されていたのだが、受けたパワーを上手く処理出来ずにモヤモヤが収まらなくて、懇親会を断ってなじみのバーに逃げ込んでしまった。(この辺りも含めてこの講演会は事故のような感じだった)
そして、堰を切ったようにここに書いたようなことを延々と話していた。
話し相手になってくれた拓ちゃんにこの場を借りてありがとうを言っておこう。